乾物野菜の代表といえば切干し大根
もどす時間が短く、アクが少ないことから、扱いやすく子どもでも食べやすい乾物です。
切干しをはじめ、ゆで干し、寒干しなど、加工方法や形はいろいろ。
料理や食べる人の好みに合わせて使い分けられれば、立派な乾物通といえるでしょう。
干し大根に最適なのは、「青首大根」です。
デンプン質が多く、水分が少ないこと、さらにスが入りにくいことから、乾物には最適の品種とされています。
煮物、漬け物、妙め煮などに使われる干し大根ですが、その魅力は、なんといっても豊かな甘み。
乾燥の過程でさまざまな酵素が働き、香りや甘み成分が生成されます。
ちなみに、干し大根の糖分はもどし汁にも溶け出すため、ぜひ料理に有効活用したいところ。
たとえば干し大根をだし汁でもどし、もどし汁をそのまま料理に使えば、仕上がりの違いに驚くはず。
甘みがプラスされる分、砂糖の使用を抑えることもできます。
成分と栄養素
生の大根と比べ、タンパク質や炭水化物、カルシウムが大幅に増加。
カリウムも多いので、体内の余分な塩分を排出してくれ、高血圧の予防に役立ちます。
血中コレステロールを減らし、整腸作用のある食物繊維や、貧血を予防する鉄も豊富。
便秘や貧血に悩むときは、とくに意識して摂りましょう。
もどし方と保存方法
もどし時間は種類によって異なりますが、もどしすぎると食感が落ちるため、しんなりしてきたら取り出しましょう。
保存は密封して冷蔵庫へ。
新鮮なものは冷凍することもできます。
もどしたものも、きつくしぼって冷凍すれば2か月くらいもちます。
いろんな種類
切干し大根
みんなが知っている干し大根といえばこれ
数ある干し大根のなかでも、全国的に流通しているのが切干し大根です。
千切りにして干し上げていることから、関西より西では「千切り大根」とも呼ばれています。
切干し大根は、江戸時代初期、凶作対策として開発された保存食。
全国各地でつくられ、日本人の食生活を支えてきた歴史ある乾物です。
ゆで干し大根
食感はやわらかく甘みはパワーアップ!
大根をゆでてから干したもの。
長崎県の五島列島などの特産品として知られ、「湯がき大根」とも呼ばれています。
形状は、輪切りだけでなく、写真のような太めの「千六本」もあります。
ゆで干し大根の特徴は、ソフトな食感と強い甘み。
もどし時間は切干し大根より短く、サラダや味噌汁の具材にぴったりです。
割干し大根
バリバリッとした強い食感が楽しめる
大根を太くさいてから干したもの。
仕上がりは、かんぴょうのような形状です。
おもな産地は岡山県や鹿児島県、瀬戸内海沿岸など。
水でもどすと、ふっくらとして、かなり強めの歯ごたえがあります。
煮物にすれば汁をたっぷり吸い込み、漬け物にすればバリバリッとした気持ちのよい食感が楽しめます。
蒸し干し大根
栄養分が濃縮された注目の干し大根
大根を千切りにし、蒸してから干したもの。
仕上がりはあめ色になります。
蒸しているため、栄養分やうま味が流出せず、非常に濃い甘みが生まれます。
市場にはあまり出回っていませんが、最近では、そのおいしさを求めて、家庭でつくって楽しむ人も増えてきました。
注目の干し大根です。
花切り大根
大根を薄いいちょう切りにし、干し上げたもの。
または、割干し大根を小口切りにしたものです。
花切り大根といえば、まず思い浮かぶのが漬け物。
さっと水洗いをして甘酢などに漬ければ、ハリハリ漬けの完成。
噛むたびに聞こえる「ハリハリ」という音が食欲をそそります。
きゅうりなどを加えても美味。
丸切り大根
薄い輪切りにした大根を干したもの。
天日干しだけでなく、最近は機械干しも増えてきました。
千切りにした干し大根より大きく、大根らしい食感が残っているため、料理のなかで存在感を発揮します。
煮物のように加熱するなら約10分、酢の物のように生食にするなら約60分、水に浸けてもどすのが基本です。
寒干し大根
大根をゆでてから干したもの。
寒い地方に伝わる伝統食材で、冬の野菜不足を補う貴重な栄養源でした。
形状は地方によって異なり、新潟県では薄いいちょう切り、岐阜県では写真のように輪切りにします。
煮物にしたり、すき焼きに入れたりすると、寒風にさらされた大根特有の強い甘みを楽しむことができます
凍み大根
夜は凍って日中溶けるこの繰り返しで乾燥
冬の夜、氷点下になる雪国でのみつくることができる保存食。
縦に割るか、輪切りにした大根を戸外に干すと、夜は凍り、日中には解凍され寒風で乾きます。
1~2か月ほどで水分はすっかり抜けてスポンジ状に。
煮汁がよくしみ、長期保存できるのが特徴です。
現在はおもに山形県や福島県でつくられています。
理想的な客家の食生活
中国南部に居住する、漢民族の一派である「客家」の食生活は、非常に理想的なものとして知られています。
彼らが好んで食べるのが大根の葉を乾燥させたもの。
日本人にとっての昆布のような存在です。
また、干し大根の粉で大根餅をつくることもあります。
日本人はしばしば、大根を漬け物にして保存しますが、塩分過多になりがち。
一方、干し大根には塩分がなく、ナトリウムを排出するカリウムを摂取することもできます。
大根のほか、大豆製品、豚肉や魚、根菜類、果物をバランスよく摂る客家の食生活。
彼らの健康状態をチェックしたところ、高血圧患者の割合は日本の半分ほどで、高齢者も農作業などを元気に楽しんでいました。全国各地においしい干し方がいっぱい。
大根を千切り、縦割り、小花切りなどの形状で生のまま、またはゆが いたりしてから乾燥させたもの。
日本全国に多くの作り方があり、種類も豊富
それぞれ食感や風味が違う、生のものよりもうま味が増し、栄養価も高いのが特徴。
水で戻し、煮物や酢漬けなどにされることが多く、各地の郷土料理においてよく使用される。
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