- セミハード&ハード Pressed Cheesesとは?
- オッソ―=イラティー
- ラクレット・フランセーズ
- サン=ネクテール
- ショーム
- トム・ド・サヴォワ
- モルビエ
- アズィアーゴ Asiago
- クルティン
- フォンティーナ
- モンテ・ヴェロネーゼ
- カステルマーニョ Castelmagno
- モンターズィオ Montasio
- ペコリーノ・トスカーナ
- ラスケーラ Raschera
- カチョカヴァッロ・シラーノ Caciocavallo Silano
- フィオーレ・サルド Fiore Sardo
- プロヴォローネ・ヴァルパダーナ Provolone Valpana
- ラグザーノ Ragusano
- テェト・ド・モワーヌ Tete・de・Moine
- アッペンツェラー Appenzeller
- マリボー Maribo
- サムソー Samsoe
- クリームハヴァティ Cream Havarti
- ケソ・マンチェゴ Queso Manchego
- マオン Mahon
- イデイアサバル Idiazabal
- サン・シモン San Simon
- ニーザ Nisa
- ランカシャー Lancashire
- チェシャー Cheshire
- コンテ Comte
- ボーフォール Beaufort
- アボンダンス Abondance
- ミモレット Mimolette
- グリュイエール Gruyere
- エメンタール Emmental
- エティヴァ Etivaz
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セミハード&ハード Pressed Cheesesとは?
比較的クセがなく、食べやすい圧搾タイプのチーズです。
チーズフォンデュなどの料理に使われ、火を通すとなめらかでおいしくなるものが多いのですが、ぜひチーズ単独でも試してほしいものです。
まろやかでありながら、 コクのある味のとりこになるでしょう。
土地のワインと合わせると、おいしさが引き立ちます。
薄く削ると食べやすいでしょう。
非加熱圧搾タイプをセミハードとし、加熱圧搾タイプをハードとしています。
オッソ―=イラティー
野性味あふれるバスク地方の銘品
フランスとスペインの国境にありながら、どちらの国とも異なる独自の文化を持つバスク地方がこのチーズの故郷。
昔からこの地方の人々にとって、羊は彼らの生活になくてはならない存在ですが、ここで見かける羊は他ではあまり見たことのない種類ばかり。
繊細な風貌を持つロックフォール用のラコーヌ種などとは違って、野性的なたくましさがあります。
そんなワイルドな羊のエサとなる高山植物も、このあたり特有のもの。
オッソー=イラティのチーズのおいしさに一役買っているのは言うまでもありません
オッソー=イラティは、羊乳特有のうまみを持ちながら、ハチミツのような上品な甘みが残るのが特徴です。
濃厚でこってりとしていながら、クセがなく食べやすいチーズです。
派手さこそありませんが、かみしめるごとに味わいが増し、やさしい甘みが感じられます。
熟成を追うごとに深みを増し、白いアミノ酸の結晶が見られるようになったものは絶品です。
ビレネー山脈の羊のチーズ
オッソー=イラティという、ちょっと変わったネーミングは、オッソーとイラティという産地の名前から。
ピレネー山脈のふもとに広がるバスク地方のイラティの森と、ベアルヌ地方のオッソーの谷がそれです。
見た目は、ベージュ色の表皮におおわれてどっしりとした趣。
表皮がオレンジがかっているものもあります。
生地はクリーム色のなめらかな組織で、食べるときにはカットして並べるのがよいでしょう。
ベアルヌ地方ではジャムや肉料理のコンフィと一緒に食べるそう。
ハチミツと合わせてもおいしい。
そのままでおつまみにしてもよく、 薄くスライスして生ハムに添えると、 とてもゴージャスなオードブルとなります。
ラクレット・フランセーズ
まさに料理のラクレットに使われるラクレットという名前にピンとくるかたも多いと思います。
フォンデュと並ぶスイスを代表する料理で、チーズをとかしてゆでたジャガイモにつけて食べる、素朴で温かいメニューです
そこで使われているチーズこそまさにラクレット。
そう、料理名もチーズ名も同じなのです。
料理のラクレットの伝統的な食べ方は、半分に切ったチーズを暖炉の火にかざし、溶けた部分をナイフで削りとってジャガイモにつけて食べるという豪快なもの。
今では小さなフライパンに似た専用の器具があり、 卓上で気軽に楽しめるようになりました。
もともとラクレットはフランス語でそぎとるという意味のラクレから名つけられました。
なめらかで引き締まった生地を持ち、小さな孔が点在。
味はとてもマイルドです。
そのまま食べてもいいのですが、溶かして料理に使うとさらに香り立ち、おいしさがアップします。
そうなると、ラクレットはやはりラクレットで味わうのが一番。
専用の器具がなくてもオーブンかオープントースターで代用できるので、ぜひ試してみてください。
耐熱皿にラクレットを入れて溶かし、ゆでたジャガイモを添え、最後にブラックペッパーで味をととのえます。
ピクルスを添えて食べれば、本場流です。
スイス産のほうがやや強い味わい
このチーズ、スイスのヴァレ州でつくられたのが始まりです。
ものによって違いはありますが、フランスのものよりもスイス産のほうが味や香りが強めです。
溶かして料理に使ってこそ、おいしさがきわ立つチーズ。
料理のラクレットをはじめ、グラタンやフォンデュに使えます。
オープンで溶かして添えれば、栄養のパランスもとれた一品。
サン=ネクテール
ルイ1世も愛したチーズ
サン=ネクテールは、フランスでは日常のテーブルチーズとして人気があるそうです。
味はかすかにマッシュルームとヘーゼルナッツのフレイヴァーが感じられます。
生地はやわらかく、むちむちと弾力のある食感が楽しめます。
サン=ネクテールにも農家製と工場製がありますが、工場製は初心者でも食べやすいやさしい味わい。
日本に流通しているサン=ネクテールのほとんどは工場製で、もっちりとして白カビタイプよりも食べやすいぐらいです。
クセはほとんどありません
通か好む農家製
とはいえ、通をうならせるのは、やはり農家製。
特にフランスでしかお目にかかれないワラの上で熟成させたものは、非常に個性的で圧倒的な存在感があります。
なんといっても独特のにおいは、たとえていえば古漬けや高来遺けのような、ワラとカビがかもし出すかなり強烈なにおい。
ところが不思議なもので、はまるとすっかりとりこになってしまう魅力があります。
見分け方は簡単。
チーズの表面に緑色の品質表示マーク(カゼインのマーク)がはられていて、楕円形なら農家製、正方形なら工場製です。
ただし、農家製は表皮をおおう白、赤、黄色のカビにすっかりおおわれて、マークが見えにくいようです。
チーズ名の由来である産地の村は、フランスの中央山塊オーヴェルニュの、標高1000mの山麓にあります。
1000年を超える歴史を持ち、太陽王ルイ14世の食卓に出されて評判になりました。
それ以降フランス人に広く支持され続けているチーズです
このチーズに合うのは、 フルーティーな赤ワイン。
お酒と一緒に味わうだけでなく、料理に使ったり、 朝食などにいただくのも手。
パンにのせて少し温めるだけでも、うんとおいしくなります。
ショーム
クセがなく、やさしい味わい
ベルギー産のリンバーガーの製法にならってつくられた、比較的新しいチーズ。
ショーム社の商品で、この会社はほかに低脂肪チーズや羊のチーズも製造していますが、看板商品は社名でもあるこのチーズです。
表皮は薄く鮮やかなオレンジ色をしています。
生地はしっかりとした組織で、まるでお餅のようなねっとり感があり、なめらか。
マイルドでクセがなく、においも控えめで、万人受けするやさしい味わいです。
表皮を洗うのでウオッシュに分類されることも多いのですが、一方でセミハードの製法を持っているので、今回はセミハードに分類しました。
新しいチーズの特徴として、製法やカビの種類が一つではなく、 おいしいところを寄せ集めたようなものが多くあります。
ショームはそんなチーズの一つです。
軽い赤わいんやフルーティーな赤ワインが、クリーミーで優しいチーズにぴったり。
食べ方としては、ジャガイモ料理に使ったりオレンジなどのシトラス系のフルーツに添えたり、簡単にバゲットと合わせても。
トム・ド・サヴォワ
サヴォワ地方の素朴な山のチーズ
サヴォワの山岳地帯でつくられる素朴なチーズ。
バター用のクリームをとったあとの脱脂乳でつくられるので、脂肪分はやや低め。
しかし熟成によってできるしっかりとしたコクがあり、ほのかにナッツを思わせる香ばしさがただよいます。
グレーがかったかたい表皮を持ち、そこに白、黄、 赤、茶色などのカビが点在。
一見すると、ほこりがおおっているように見えます。
生地はきめこまかく目が詰まっていて弾力があり、しなやか。
ところどころに小さな気孔も見られます
トム·ド、サヴォワは、貧しい暮らしの中で生まれたチーズ。
山を越えるごとに、あるいは村ごとにあるので、産地名がついているものもあります。
A0Cを持つものには、 トム·デ·ボージュがあります。
フルーティーな辛口の白ワインがトム・ド・サヴォワの持ち味であるミルクの優しいふんわりとした風味を引き出してくれます。
そのまま食べるのも、溶かしてパン・ド・カンパーニュに乗せるのも良いでしょう
モルビエ
横半分のところに入ったススが特徴的
このチーズの最大の特徴は中央部に水平に入っている1本の黒いライン。
これは実はスス。
食べても安心な植物性食品添加炭が使われています
この黒いラインは、モルビエが農家の自宅用チーズであったことに由来します。
モルビエの産地はジュラ地方で、フランス人の大好きなコンテと同郷です。
昔、コンテは共同でつくられていました。
しかし、冬の雪深い時期は、酪農場までカード (疑乳)を持っていけなかったために、家でつくったのがモルビエです。
一つのチーズをつくるには乳が足りず、つくったカードに鍋の底のススを振りかけ、翌日あらたにカードを足してつくりました。
今は、本当ならばススは必要ないのですが伝統的なスタイルとして、線は健在です。
このチーズはあまり熟さないうちに食べるのがよいとされています。
軽い甘みとふんわりとやさしい味、むっちりとした食感をおためしください。
なるべくフルーティーなワインを選ぶとよいでしょう。
モルビエの持つ山のチーズの味わいがより深いものになります 。
アズィアーゴ Asiago
タイプの違う2つの種類
アズィアーゴの故郷はヴェネチアの北、標高1000 mの山の驚にあるアズィアーゴ村。
もとは羊のミルクでつくられていて、ヴィチェンツァのペコリーノとも呼ばれていましたが、16世紀、アズィアーゴ高原に牛がやってきてからは牛乳製が主流となりました。
実はアズィアーゴにはタイプの違う2つの種類があり、同じ名前で呼ばれるのが不思議なほどの違いがあります。
一般的に知られているのは親しみやすいアズィアーゴ、プレッサート。
円盤系で重さは11~15Kgあり、淡いクリーム色をしています。
生地にはところどころに不規則な気孔があります。
もう一つのアズィアーゴ・ダッレーヴォも円盤系で、 重さは8~12Kg 表皮の色は茶色でつやつやとしています。
プレサートは、オールマイティーに使える万能選手
アズィアーゴ、プレッサートはほのかな酸味と甘みがあり、しっとりとしたやわらかさが持ち味です。
そのまま食べるのはもちろん、クセがないのでいろいろな食材と合わせやすく、 食卓で大活躍してくれます
ダッレーヴォは深みのあるおいしさ
ダッレーヴォはかたく、アミノ酸の結晶が見られ、引き締まっているのが特徴です。
かみしめるほどに味わいが増す趣のあるチーズで、コクのあるおいしさは一度食べたら忘れられないほどです。
ただし、手に入りにくいのが難点。
農家製が中心で生産量が少ないため、やむをえないのです。
アズィアーゴ プレッサートにはフルーティーで軽めの赤、 またはロゼワインが似合います。
グラタンやパスタに、少し厚めにカットしパン粉をつけて焼けば、りっぱな一皿となります。

クルティン
超ゴージャスなトリュフ入り
トリュフといえば世界三大珍味の一つとしてあまりにも有名。
その黒トリュフをこまかく刻んだものと、牛と山羊のミルクとを一緒に煮てつくる、なんとも賛沢なチーズがクルティンです。
なるほど、トリュフの娼薬のようなえもいわれぬ香りがしっかりと感じられます。
中身はくずれるようなもろい組織で、ぼそぼそしていて素朴な趣があります。
このチーズ、円筒状で上にひもが結んであります。
なんでもネズミよけのために、ワインカーヴの天井からつるして熟成させた名残りだとか。
クルティンという名前も、ピエモンテ地方でワインカーヴを意味します。
このリッチなチーズ、確かに高価ではありますが、それでも生トリュフを買うよりは断然お得。
ちょっと食卓をゴージャスに演出したいときにいかがでしょうか
ピエモンテの偉大なワインをぜひ 一緒に。
フォンティーナ
イタリア風チーズフォンデユの必需品
冬はスキー客でにぎわう、北イタりアのヴァッレ、ダオスタ地方でつくられるチーズがフォンティーナです。
正式名をフォンティーナ・ヴァッレ・ダオスタといい、右記以外の場所でつくられるチーズは、たとえ同じ製法でもフォンティーナとはいわずにチーズフォンタルと呼ばれます。
フォンティーナはイタリアの、山のチーズの代表的在行在。
少しクセのあるにおいとやさしい味で、ほのかに香るナッツの風味とハチミツのような甘みがあります。
6~9月に山でつくられるものはアルペッジョと呼ばれ、特に珍重されます。
この時期のチーズは熟成期間をへて、食べごろは秋から冬。
イタリア風チーズフォンデュ、フォンドゥータの材料に不可欠であり、時期もびったりと旬に重なります。
やはり土地の名物料理フォンドゥータがおすすめ。
フォンドゥータに牛乳、バター、卵を加えて作るイタリア風フォンデュは寒い冬には何よりのご馳走です。
ワインは熟成したマイルドな赤を選びましょう

モンテ・ヴェロネーゼ
ミルキーでふんわり甘いチーズ
デリケートでクリーミー、バターを思わせる心地よい甘みが持ち味。
外皮は薄く麦わら色をしていて、弾力があります。
クリーム色の生地は、一面に小さな気孔が点在しているのが特徴です。
ヴェネト州ヴェローナ県のレッシーニ山を産地とするこのチーズは、現在も昔ながらの製造方法でつくられています。
モンテ·ヴェロネーゼは、 使用されるミルクによって2タイプに分けられます。
一つは牛の全乳を使ったもの、もう一つは牛の脱脂乳を使用したもの。
脱脂乳タイプは、名前のあとにダッレーヴォをつけて区別しています。
アズィアーゴ にルーツを持つチーズです。
ダッレーヴォは生産量がとても少なく、なかなか日本ではお目にかかれません
ミルキーでほんのり甘いこのチーズは食感が良いのでテーブルチーズでその実力を発揮してくれます。
熟成が進んだものはおろして料理に使っても。
イタリア産の赤ワインもお忘れなく

カステルマーニョ Castelmagno
個性的な味わいを持つ高級チーズ
ピエモンテ州の村カステルマーニョの、農家でつくられるチーズ。
まるでなれ寿司を思わせるような、個性的な味わいがなんとも魅力的です。
イタリアではワンランク上のチーズとして扱われており、高級レストランのメニューで見かけます。
ほのかな酸味と独特の発酵臭を持ち、ぽそぽそとした生地を口に含むと、ふわっと風味が広がる、奥の深い味です。
この持ち味を決定づけているのは独特の製法。
麻袋にカード(凝乳)を入れ、つるして水きりをして、こまかく砕き塩をまぜて、型に入れてととのえたあとに、発酵させるというものです。
表皮はしわしわで灰色。
赤や黄色の自然のカビにおおわれていて、熟成が進むと亀裂に青カビが発生します。
このチーズをおいしくする青カビが出てきたら食べごろです。
モンターズィオ Montasio
山のチーズは伝統ある深い味わい
イタリアの北の端、オーストリアとスロベニアの国境に接する小さな州がこのチーズの産地。
モンターズィオという名は、ここの山の名前ですが、実はこのチーズをつくり始めたのは、地元の人々ではなかったのです。
13世紀の半ばにモッジオ修道院の修道僧たちによってつくられていたチーズがモンターズィオ山に住む人々に伝えられ、評判が評判を呼び、1773年地元で公的価格が定められ、一定の生産量を確保するようになりました。
熟成したものは、伝統ある山のチーズらしく、かみしめるほどに味わいが深くなるのが特徴。
コクがあり、味のバランスがよく、食べやすいチーズです。
熟成が進むと、風味やうまみとともにパイナップルのような甘みも増してきて、 濃厚なおいしさが口いっぱいに広がります
ペコリーノ・トスカーナ
トスカーナの芳饒なる大地の味
ペコリーノとは、羊乳でつくるチーズのこと。つまりペコリーノトスカーノとは、トスカーナ地方の羊乳製チーズというわけです。
塩分控えめの、羊特有のやさしくマイルドな風味を最大限に生かした味わいです。
このチーズ、ソフトタイプのフレスコ(フレッシュ)と、セミハードタイプのスタジオナートとでは、ずいぶん味わいが違います。
フレスコはむっちりとしてしなやかな弾力があり、羊乳のにおいもやさしく、あっさり風味。
一方でスタジオナートは、キノコにも似た深い香りとコクが出てきて、甘いフレイヴァーがあります。
若い状態で食べるのが一般的ですが、しっかり熟成させたスタジオナートも近ごろでは人気。
気をつけたいのは、切ったらすぐに食べるということ。 脂肪分が高いので、時間がたつにつれてベタベタしてきます。
ラスケーラ Raschera
デリケートなおいしさ
ピエモンテ州クネオ県の谷あいの盆地でつくられるチーズです。
さらに標高900m以上のところで製造したラスケーラは、ディアルペッジオ(高地牧場製の)と表示できます
見た目はゴッゴツしていて、赤みを帯びたグレー色。
熟成が進むにつれて、赤っぽいしみが浮き出てきます。
味は、若いうちは上品でデリケート。
熟成すると深みとコクが増します。
組織はかためながらしっかりとした弾力があり、飾りけのない素札なおいしさです
形は角型と丸型の2種類。
四角いものは、ラバの背中に積みやすくとのことでこの形になったのだとか。
近年は、角の丸い四角形が主流です。
カチョカヴァッロ・シラーノ Caciocavallo Silano
2つの説がある馬のチーズ
頭の小さいひょうたん型や洋ナシ型をした、変わったルックス。
これはひもにつるして熟成させるため。
ひもをかけたあとがあるのが特徴です。
ビアンコとスモーク(アッフミカート)の2種類があります。
表皮はビアンコが白っぽく、スモークが茶色で、生地は引き締まって弾力があります。
豊かな風味と上品な甘みがあり、若いうちは繊細なテイストがやさしく感じられ、熟成が進むにつれて辛さとコクが増してきます。
熟成が半年を越えるとかなりかたくなり、今度は料理づくりに活躍してくれます
カチョカヴァッロのカチョはチーズ、カヴァッロは馬のことで、この名前の由来には2つの説があります。
その昔、熟成のときに2つ一組でつり下げていたのが、馬にまたがっているようだからという説。
もう一つは馬乳でつくっていたというものです。

フィオーレ・サルド Fiore Sardo
野性味あふれるトラディショナルチーズ
長い歴史を誇るチーズで、ひもといていけば青銅器時代(紀元前1500~紀元前1000年)までさかのぼるとか。
山の羊飼いが伝統的につくり継いできた、トラディショナルチーズの一つです。
使われるミルクは、サルデーニャ種ムフローネの血筋を引く羊乳。
ムフローネはサルデーニャやコルシカにいる野生の羊で、確かにこのチーズの味わいは野性味あふれるナチュラルなもの。
深みのある味とほんの少しの辛さがあり、羊らしいマイルドなやさしさが感じられます
「サルデーニャの花」という芳しい名を持つこのチーズは、円錐台形が2つ、底面で合わさったような形をしています。
熟成はアトリエの上の棚で行われるので自然にスモークされ、表皮の色は濃い黄色から、グレー、黒に近い茶褐色をしています。
プロヴォローネ・ヴァルパダーナ Provolone Valpana
形のバリエーションいろいろ
イタリアの食料品店で、太いひもで縛ってつり下げられている姿をよく見かけます。
クセがなくあっさりとした味で、甘みと酸味のまざりぐあいがちょうどよく、日本人の暗好によく合います。
もともとは南イタリアが生産の中心でしたが、現在では北部パダーナ平原一帯でつくられています。
なんでも19世紀後半に、南イタリアのチーズ職人マジョッティ兄弟が、より豊かなミルクを求めて北へ移住したからだとか。
形のバリエーションが豊富で、サラミ型に始まり、洋ナシ型、円錐型などさまざま。
もともとは球形をしていて、名前の由来もボールという意味のナポリの方言プロヴァから。
しかし、製造工程中に何度もチェックすることから、試すという意味を持つプロヴォーラからきたという説もあります
グリルで食べるのがおすすめです。

ラグザーノ Ragusano
国際的な人気を誇る
細長い四角形をしていて見た目こそ異なるものの、製法はカチョカヴァッ口(P124)と同じです。
その証拠に、まん中に縛ったひものあとがあります
16世紀にはすでに海外に輸出されていたようです。
第一次大戦後多くのシチリア人がアメリカへ移り住みました。
それにつれて大量にアメリカに輸出されるようになり、そのとき輸送しやすいようにと形が大きくなりました。
外皮は黄金色もしくは茶色っぽい麦わら色で、手ざわりはスムーズです
中身ははっきりとしたイエローホワイト。
綴密な組織は熟成するとひび割れが見られるようになります。
まばらな気孔があることも。
熟成の若いものは、甘い中にも酸味があり、やさしい味が楽しめます。
熟成が進むとしつかりした味になり、独特のアロマが出てきます。

テェト・ド・モワーヌ Tete・de・Moine
名前の意味は、なんと修道士の頭
修道士の頭という意味のユニークなネーミングのチーズ。
別名はベルレー。
どちらの名前も、12世紀にスイスとフランスの国境にあるジュラ地方のベルレー修道院の修道士がつくったことに由来します。
修道士の頭というものの、頭の形をしているわけではありません。
テェト·ド·モワーヌは濃厚なにおいがあり、甘みとコクが行き届いたどっしりした味わいのチーズです。
食べるときは、専用のジロールと呼ばれる削り器にチーズを差し込んで、薄い花びらのようにスライスしていただきます。
とはいえ、一般の家庭ではスライサーで充分。
濃厚な味わいのチーズなので、薄く削った状態で食べるのがちょうどいいのです。
熟成しすぎは禁物。
粘りとくさみが出てしまいます。
冬が終わるまでのシーズン中に食べ切ってしまうのがよいでしょう。
アッペンツェラー Appenzeller
長い歴史を誇るスイスの個性派
スイスの北東、アルプシュタイン山脈のふもとのアッペンツェル地方が産地。
ラベルには州の紋章である、2本足で歩くクマの絵が描かれています。
このチーズは、西暦800年ごろ、シャルルマーニュ大帝の食卓に並んでいたといわれています。
誕生はさらにさかのぽるはずなので、相当長い歴史があります
強い味と香りを持つアッペンツェラー。
それはスパイスを加えた白ワインやシードルの中に熟成前に数日間漬け込むか、熟成中にこの液に浸した布でふくという、伝統的な製法でつくられているからでしょう。
熟すとグリュイエールに似た独特のうまみがあらわれ、さらに熟成が進むとスパイシーなコクが感じられます。
熟成の若い順から銀(熟成最低3~4カ月)·金(熟成最低4~5カ月)·黒(熟成最低6カ月以上)とラベルの色が変わるので、ラベルの色で選んでください。
マリボー Maribo
マイルドな味と溶けやすさが料理向き
デンマークを代表するチーズの1つ。
チーズにくわしくない人でもその名を知っているほど、 日本での人気は定着しています。
名前の由来は、ローランド島の町の名。
オランダのゴーダの製法をもとにつくられています。
14Kgの円盤型と15Kgのワックスのない正方形がありますが、主流は正方形。
チーズの専門店ではカットして、またスーパーではあらかじめカットしたものをパックして売っています
中身は薄い黄色を帯びていて、ところどころに孔が散在。
きめはややあらく弾力性があります。
食べるとわずかな酸味とおだやかな風味があり、このマイルドな味わいが広く愛される理由と納得します。
あらゆる料理に使えますが、加熱するととろみが出てきてよくのびるので、ピッツァやグラタン、フォンデュなどに最適です。
サムソー Samsoe
グリュイエールを模してつくられた
マリボーと人気を二分する、 見た目もよく似たチーズです。
マリボーがオランダのゴーダを模したのに対し、サムソーはスイスのグリュイエールをお手本にしています。
19世紀デンマーク王がスイスからチーズ技術者を招いて生み出されたチーズです。
サムソーはマイルドでクセがなく、やさしい甘さがあります。
かつては円盤状がほとんどでしたが、現在ではワックスのない四角形が主流です。
生地には、マリボーよりも大ぶりの豆粒大の気孔が見られます。
これは製造の過程で、カード(疑乳 )をホエー(乳清)の中でとり除いてから圧搾するためです
親しみやすい味で、家庭用はもちろん、ピッツァ用など業務用としても輸入されてきました。
最近ではオーガニックも輸入されています。
名前の由来はユトランド半手島とジーランドの間にあるサムソーという島から。
クリームハヴァティ Cream Havarti
ほのかな甘みとコク
当初はデンマークのティルジッターとして知られていましたが、デンマークチーズ界の先駆者ハンナ·ニールセンの業績をたたえ、いつしか彼女の農場の名、ハヴァティで呼ばれるようになりました。
表皮は淡い黄色で、ベタベタしています。
ウオッシュタイプのチーズに共通するにおいと粘りけがあるので、ウオッシュタイプとして分類されることもあります。
しかし全体の印象としては、ほのかな甘みとコクがあり、比較的食べやすいチーズといえるでしょう。
熟成3カ月を過ぎると、いっそう深い味わいとなります。
中身はこまかい米粒大の気孔が全体に広がっており、しなやかで弾力があります
ケソ・マンチェゴ Queso Manchego
「 ドン·キホーテ」にも登場するチーズ
「ドン·キホーテ」の舞台として知られる、スペインのラ·マンチャ地方がこのチーズの故郷。
実際に、ケソ·マンチェゴは「ドン·キホーテ」にも登場する、スペインではとてもポピュラーーなチーズです。
羊特有の甘さや香りがふんだんに感じられ、口に広がるハチミツのようなミルクの甘み、そしてやさしい食後感がみごとに融合しています。
殺菌乳を使う工場製と、無殺菌のアルテサーノ(家内工業製) の2つのタイプがあります
ケソ·マンチェゴの特徴はその外見にもあります。
一目でそれとわかる帯状の細い編み目模様は、昔の製法の名残り。
工場製が大半となった今でも、型にわざわざ編み目模様をつけてつくるのです。
中身はかたく引き締まっていて、上品なアイボリーホワイトが、味わいと同様にやさしい趣です。
熟成段階による味わいが楽しめます。
マオン Mahon
チェダーチーズを懐かしんでつくられた
地中海に浮かぶ小さな島メノルカ島はマヨネーズ発祥の地として知られていますが、同時に温暖な気候の中、昔から牧畜を行いチーズ作りが盛んだったところでもあります。
かっては地中海貿易の要所であったこの島の港名、マオンがチーズ名になっています 。
マオンは、 島で放牧されている牛のミルクを原料につくられます。
表面をオリーヴオイルでこすりながら熟成させたり、パプリカを加える場合もあり、少しばかりの酸味があり、潮を思わせる香りがさわやかです。
濃いオレンジ色から赤褐色の外皮を持ち、やや脂っぽい。
熟成の進んだものには、カラスミのようにピリッと辛いシャープな風味があります。
フレッシュなものから熟成が進んだものまで、そのときどきで味わいが楽しめるマオン。
その歴史は、13世紀までさかのぼることができるといわれています

イデイアサバル Idiazabal
スモーキーなフレイヴァーが持ち味
フランスとの国境に接した、バスク地方のチーズ。
表皮は濃いオレンジ色で光沢があり、中身は淡いイエロー。
表皮に近い部分は、透明感がある茶褐色をしています。
スモークしたような香りと、羊乳のほどよい酸味が持ち味。
イディアサバルには、煙製したものと、していないものとの大きく2つの種類があります。
主流は燻製していないもの。
燻製したタイプは当然といえば当然ですが、よりスモーキーな香りが特徴です。
DOPに登録されているイディアサバルですが、その規定はたいへん厳しいものです。
使用するミルクはラチャ羊やカランサナ羊といった土地の羊の乳でなければならず、凝固剤は小羊の塩漬けを使うなど。
だからでしょうか、素朴な味わいの中に、羊が食べたであろう、草のにおいがかすかに感じられます。
サン・シモン San Simon
大きな涙のようなかわいらしい形
サン·シモンは、牛乳を原料につくられる、マイルドでやさしいチーズです。
スペインのチーズはちょっと苦手、というかたもこれを食べると印象が変わるはずです。
産地はスペイン北西のガリシア地方。
ゆっくりと時間をかけて圧搾されるため、生地はなめらかで気孔がありません。
表面は燻製処理が施されています。
クセがなく食べやすいのですがサン·シモン最大の特徴は、とても個性的な味。
昔懐かしい、ビン入りのコーヒー牛乳の味がするのです。
ゆっくりとかみしめると、甘みが口の中でじわっと広がっていきます
もう一つの特徴は、かわいい形。
マンガに描かれている涙のような、先のとがった円錐形をしています。
ニーザ Nisa
表面はスモークしたようなオレンジ色
ポルトガル南東部産のメリーナ·ブランカ種の羊乳を使ったチーズ。
カルドと呼ばれる、 朝鮮アザミの雄しべからつくられる凝固剤を入れてミルクを固めるという、独特の製法でつくられています。
表皮を洗いながら熟成させるため、スモークしたような濃いオレ ンジ色をしています。
中身はほどよく締まっていて、においが強い。
羊乳のチーズなので特有の甘さは感じられますが、ややクセがあり、香りが口の中にしっかりと存在感を残します。
かすかな酸味があり、それがこのチーズにフレッシュ感を与えています
かつては農家製が多かったのですが、ほかのチーズ同様、家内工業製がふえてきました。
保存の仕方がおもしろく、冷蔵庫がなかったその昔は、人々はこのタイプのチーズをオリーヴオイルにつけて長期保存していた、といわれています。

ランカシャー Lancashire
「宝島」のベン· ガンが夢見たチーズ
イギリスの冒険小説宝島」の中で、ベン-ガンが毎晩のように夢見たのがこのチーズ。
それほどまでベン· ガンを魅了した理由は、やはり味でしょう。
形こそチェダーに似ているものの、食べると比較的さっぱりしてマイルドな味わいながら、複雑でなんともいえぬコクがあります。
若干の塩けや酸味があり、一度食べたら忘れられない、とても個性的なフレイヴァーです。
この独特の風合いは、特殊な製法によるところが大きいといえるでしょう。
一晩ねかせたカード(凝乳)を翌日のカードとまぜてつくられるので、自然の乳酸菌が働いて、酸味を帯びた前日のカードが特有のフレイヴァーをかもし出すのでしょう。
今でも伝統的なランカシャーは、包帯を巻きラードを塗って熟成させます。
食べごろは2ヵ月たったころ。
10ヵ月も熟成させたものは、さらに個性が強まり通をうならせるおいしさです。
チェシャー Cheshire
白、赤、青の3つのカラーバリエーション
11世紀後半からつくられている、イギリス最古のチーズ。
名前は、産地であるチェシャー州に由来しますが、チェシャーの州都がチェスターであることから、別名チェスターとも呼ばれてい
ます。
イギリスのチーズは、一つの種類で色違いのチーズをつくることがありますが、チェシャーもその一つ。
色は白、赤、青があり、これは国旗ユニオン· ジャックにちなんだもの。
そのせいかこのチーズのイギリスでの人気は絶大です。
ちなみに一番よく見るのは、白のホワイト:チェシャーです
色は違っても、チェシャーはどれもやや酸味があってシャープな味わい、塩味が強めなのが特徴。
この塩味は北西部の海岸の塩を含んだ草を食べた牛のミルクを原乳とするため。
エサである牧草が、芳醇な風味をチーズに与えてくれるのです。
生地はぼそぼそしていながらもしっとりとしています。
コンテ Comte
毎日食べても飽きないおいしさ
フランス人に最も親しまれているチーズが、このコンテ。
の中では、フランス最大の生産量を誇ります。
人気の秘密はバランスのよさにあります。
食べやすいけれど複雑な味わいと、カジュアルでありながら質が高いため、毎日食べても飽きがこないのでしょう。
味の特徴は、香ばしいナッツのフレイヴァーがあること。
そこに濃厚なミルクのコクが加わります。
しっかりとした味わいながら、しつこさはありません。
しなやかで目の詰まった組織は、明るい黄色をしていて、冬には薄いクリーム色になります。
表皮はざらざらしてかたく、色は土の色。熟成が4~6力月のものは茶色
半年以上のものは緑色のテープが表面に巻かれています
蒸成が進むとさらに豊かな味わいに
ほかのAOCチーズ同様、コンテと名のるための条件は厳しく、いろいろあります。
その一つは熟成が4カ月以上であること
6カ月以上熟成させたものをコンテ·エクストラと呼びます。
12~24カ月熟成させたものは、アミノ酸の結晶があらわれます。
ここまでのものは、ヴュー·コンテ(古いコンテ)と呼ばれたり、コンテ- フリュイテと呼ばれたりします。
その豊かな味わいは、山の果物と形容されるのにふさわしいものです
サンドイッチ、 サラダやグラタンと料理にオールマイティーに真価を発揮。
グリュイェールと同じくフォンデュにも使えます。
ワインは辛口の白や、 軽めの赤が合います。
ボーフォール Beaufort
禁厚な味わいはプリンスと称される
フランスの、山のチーズの一つ。かの美食家プリヤ=サヴァランが、プリンスと絶賛したその味は賛沢。
ミルクをふんだんに使うため、上品なコクとなってチーズの味わいをきわ立たせています。
食べると蜜のような甘みとさわやかな香りが口いっぱいに広がり、しっとりとしてしなやかな食感があります
このチーズの産地は、多くの名チーズを生み出している、イタリアやスイス国境近くにある山岳地帯、アルベールヴィル近くの小さな村で、ボーフオールというネーミングはその村の名前に由来します。
同じように山岳地帯でつくられるハードタイプにコンテやスイス産グリュイエールなどがありますが、それらよりも一回り大きなサイズで、どっしりといます。
フルーティーな甘さが味わい深い
熟成は最低4カ月。若いものもおいしいのですが、おすすめは9~18カ月たったもの。
独特のフレイヴァーがさらに増し、よりいっそう深い味わいが楽しめます。
またチーズ好きにはたまらないもう一つのおすすめは夏のボーフォールで、夏の間に山に放牧する牛乳でつくったボーフォール·ダルパージュ。
この夏の間につくられたチーズの生地は、通常のボーフォールよりも濃いクリーム色。
これは牛が食べる牧草の違いによるものです。
太陽の光をいっぱいに浴びた緑の葉や色とりどりの高山植物が、豊かな色やフレイヴァーをチーズに与えて、絶品に仕上がっています。
ワインはフルーティーでマイルドな赤や白が最適。
クルミ入りのパンやナッツと合わせたり、料理に使ったりと使いやすいチーズ、郷土料理フォンデュ·サヴォヤードにならってフォンデュをつくってみても。
アボンダンス Abondance
飾りけのない複雑な味わいが美味
このチーズの歴史は古く、14世紀にはすでにアボンダンスの修道士たちによって製造され、法皇庁御用達にも指定されたという記録が残っています
表皮が濃い茶色で、側面が内側にくぽんだ車輪型をしている点もボーフォールに似ていますが、違うのは大きさ。
ボーフォールの約4分の1ほどです。
粗野ともいえる独特の味が特徴。
フルーツを思わせる甘みと、ヘーゼルナッツの香り、舌を刺すような辛みがうまくまざり合って、複雑な味わいをかもし出し、口の中で絶妙なハーモニーとなって広がります。
このチーズの名は産地である同名の村からつけられましたが、アボンダンスという言葉には、豊富とか多量という意味もあります。
縁起のよいネーミングもチャームポイント。
ミモレット Mimolette
元祖はオランダのチーズ
元祖をめぐってオランダかフランスか議論があるようですが、オランダがオリジナルというのが定説。
17世紀、フランスで外国からの輸入を禁止した際、オランダからチーズが入らなくなりました。
そのときにエダムをまねてつくられ始めたのがミモレットといわれています。
アナトーで着色された鮮やかなオレンジ色が印象的です。
ミモレットはフランス語で、半分やわらかいという意味。
ジュンヌ(熟成の若いもの)はやわらかく、ヴィエイユ(熟成1年以上)となると表面がザラザラになります。
さらに18~24カ月となると茶色くなって、割れるほどです。
若いうちはクセがなく、ほんのりナッツのフレイヴァーもあります
熟成が進むにつれ濃厚さを増し、ヴィエイユともなると、まるでカラスミのようです。
グリュイエール Gruyere
スイスを代表するハードタイプ
スイスチーズといえば真っ先にこのチーズを思い出す人も多いのではないでしょうか。
テーブルチーズにしてもよし、エメンタール同様フォンデュに、またグラタンやキッシュにと、幅広く活躍してくれます。
値段も手ごろなので、日常的に使うのにもってこいです
グリュイエールも熟成の度合いによって味わいが違ってきますが、概してしなやかでまろみのある味わいが特徴。
ナッツの風味も感じられ、クリーミーさの中に酸味と塩味もかすかにあります。
スーパーなどで売られている、四角いプロックにカットされたものは熟成3力月程度の若いもので、おだやかなテイストが料理向きです。
チーズそのもののおいしさを味わいたいなら、専門店で熟成したものをカットしてもらうのがいいでしょう。
産地である、スイス西部のグリュイエールという町の名がつけられたこのチーズの起源は12世紀。
湿ったビスケットのような黄色い表皮を持ち、中身はきめがこまかく、グリンピースぐらいの大きさの気孔が散在しています
フランス国境の山で昔からつくられていたグリュイエール。
産地をめぐって長い間もめていましたが、1952年、イタリアのストレーザで開催された話し合いで、スイスでつくられたものこそ、
グリュイエールと呼ぶことができるようになりました。
最高のグリュイエールは夏季放牧の間につくった、グリュイエール,ダルパージュと呼ぶものです。
コンテとよく似た味わいです。
かつてはコンテをはじめ、フランスのハードタイプの山のチーズの総称をグリュイエールと呼んだようです。
フォンデュをはじめ、 グラタンやキッシュなどのオーブン料理に幅広く使えます。
スライスして朝食やおつまみにしてもOK。
ドリンクはフルーティーで辛口の白ワインや、軽い赤ワインを選ぶとよいでしょう。
エメンタール Emmental
大きな気孔で、一目でわかる
漫画「トムとジェリー」に出てくる大きな孔のあいたチーズがこれ。
生まれ故郷はスイスのエメンタール地方のエメンタール谷。
現在では世界各国でつくられており、だからこそアメリカの「トムとジェリー」にも登場したわけですが、本国スイス産にはSWITZERLANDと赤い押印があります。
エメンタールらしい、チーズアイと呼ばれる大きな気孔は、なぜできるのでしょうか。
これはエメンタルをつくるときに使われる、プロピオン酸の働きによるもの。
でき上がったチーズを温度の低い部屋から高い部屋に移動させるとその温度差によってプロビオン酸が活動を始め、炭酸ガスを発生させ、その結果、チェリーほどの大きさもあるチーズアイができるのです。
チーズアイはそのままだと破壊してしまうので、温度の低い部屋に移し、プロピオン酸の働きを止めます。
落かして食べるのがおすすめ
エメンタールはテーブルチーズとしてそのまま食べてもいいのですが、溶かすとよくのびて風味が増し、おいしさ倍増。
フォンデュに使えるのは言うまでもありませんが、チーズ料理ならなんでももってこいです
味わいは、わずかな甘みとややクルミの香りが感じられますが、全体的には淡泊でマイルド。
チーズアイが正円で、光沢がありしっとりとぬれているようにしなやかで弾力のあるものが最高の状態とされています。
買ってきたら、できるだけ早く食べ切るようにしましょう。
フルーティーな白がワインのオススメ。
アルザスやスイス産を選ぶとよいでしょう。
料理に幅広く使えますが、中でもフォンデュには欠かせない存在。
サイコロ状に切ってサラダに敵らしてもグッド。
エティヴァ Etivaz
夏期放牧でつくられる伝統の味 スイスのA0C取得第一号チーズ。
産地はレマン湖東岸から、さほど遠くない標高1500 mにあるヴォー州エティヴァ村。
ここは緑豊かな牧草地帯です。
この地名のエティヴァには、エスティヴァージュ(夏期放牧)という意味があり、その名が示すように、5月10日~10月10日のアルパージュ(アルプスの中腹で放牧すること)の期間でつくられます。
製造は放牧現場で、乳の輸送は禁止、加熱は必ず薪を使用することなど、伝統的な製法が法律によって厳しく守られています
伝統的なつくり方を守っているため、ナチュラルなテイストに仕上がっています。
力強いミルクの、深いコクとにおいとやわらかな甘さ、ほのかなひなたを思わせる干し草の香りが独特の風味を与え、ぐっと存在感ある味に仕上げています。
薪を使っているせいか、食欲が刺激されるスモーキーな味わいが感じられます
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