発酵と自然界にいる微生物の働き(放線菌,皮膚常在細菌,他)

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    発酵と微生物
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    発酵と自然界にいる微生物の働き(放線菌,皮膚常在細菌,他)

    地球上には、私たちの知らない微生物がまだ多く存在しています。
    人間の目に触れたことのないものや、存在はわかっていても培養できないものなどの微生物群がそれです。
    すでに「家畜」化してきたものは、微生物界のほんの一部にすぎません。
    むしろ家畜化されていない、いわば「野性」の微生物のほうが、数、種類ともはるかに多いのです。
    それだけ微生物活用の道は、未来に無限に残されていることになります。
    自然界で微生物がもっとも高い密度で分布している場所は、地上の広大な土壌のなかです。
    田畑や山林の土壌から住宅地の庭やベランダの植木鉢の土壌に至るまで、あらゆる土のなかに微生物が充満しています。
    1グラムの土のなかには、100万から一億におよぶ徹生物細胞が存在します。
    土壌微生物のなかでもっとも多い菌種は、放線菌です。
    1945年にワクスマンがストレプトマイシンを生産する放線菌を発見してから今日まで、いろいろな放線菌が土壌から分離されてきました。
    湿った庭土を掘り起こしたときに感ずるカビ臭い特有の匂いは、放線菌が発するものです。
    また、バチルス菌とクロストリジウム菌も、土のなかで数多く生活しています。バチルス菌
    は空気がないと生きられない好気性細菌ですから、空気の供給がある表層土壌に、反対にクロ
    ストリジウム菌は空気がなくても生きられる嫌気性細菌ですので空気に触れない土壌の深いと
    ころに、それぞれが分布しています。
    細菌類のほかにカビ、酵母なども多くの種類が、土のなかからみつかっています。
    水のない砂漠や低温の高山では、定着している徹生物はすくなく、風に乗って飛来する微生物胞子が存在する程度です。
    水のなかにも徹生物は住んでいます。
    海洋、河川、湖沼などあらゆる水域から微生物がみつかっています。
    しかし微生物の分布密度は、土壌の十分の一から百分の一程度と低くなっています。
    細菌、カビ、酵母などのほかに、プランクトンや凝類も多く分布しています。
    植物性プランクトンと類は、光エネルギーを利用して生育します。
    光がとどく深さは海面下百メートえ以内ですから、海洋の浅いところにはいろいろな種類の藻類が見られます。
    教千メートル下の海底の泥や海底火山の噴火口近辺にも、微生物が生きています。
    海底には、降り積もった生物の死細胞からくる有機物質や化学エネルギーに富んだ無機化合物など
    微生物が生きていくのに必要な栄養源が豊富に存在します。
    飲生物が住んでいるのは、土壌圏と木圏ばかりではありません。
    大気圏には微生物が浮遊しています。
    地表に近い空気一立方メートル中に100個から10000個のカビ胞子が飛びかっています。
    パンや餅をほおっておくとカビが生えるのは、落下した空気中の胞子がくっついたからです。
    対流圏の上限付近の十キロメートル上空にも、数はすくないのですが、胞子が浮いているのが認められます。
    微生物は、このように海抜数千メートルの上空から海面下数千メートルの海底にまで分布しており、地球は徹生物に覆われているといってもいいくらいです。
    同時に、私たち人間は、微生物のなかで生きているともいえます
    事実、私たちの身体は微生物にまみれているのです。
    皮膚表面にはさまざまな微生物が付着していますし、そればかりか、ロのなかや消化管などの体内にも微生物が住みついているのです。
    これらは、それぞれ皮膚常在細菌、ロ腔細菌、腸内細菌と呼ばれています。
    ニキビなどの化農症は、皮膚常在細菌が原因になっています。
    水虫はカビが原因であることはよく知られています。
    口腔細菌の一つは虫歯の原因になっています。

    徹生物にとりかこまれていることは、動物でも同じです。
    家畜の牛や山羊のような反芻動物は胃 (ルーメン)のなかに、さまざまの徹生物を飼っています。
    それらをルーメン微生物と呼んでいます。
    このように地球上のあらゆる空間と生物体に散在している野性の微生物は、実はそれぞれの場で、われわれが気のつかないあいだにきわめて重要なはたらきをしているのです。

    共生と寄生

    土壌中には何種類もの微生物が高密度で生活していて、いわば微生物の多民族国家を形成しています。
    そこでは、当然、微生物のあいだにさまざまな関係が生じます。
    その典型的な例は、二種の微生物がたがいに依存しながら生活する共生です。
    共生といっても、両方に有益であるとはかぎらず、一方にだけ有益で、もう一方には無益だったり、有害な
    場合さえあります

    両方に有益な共生関係としてよくあげられる例は、豆科植物と根癌菌の関係でしょう。

    根瘤菌は豆科植物の根毛に好んで住みつき、養分をとりながら根癌を形成します。
    一方、空気中の窒素を固定してアンモニアやアミノ酸をつくり、宿主の植物に供給します。
    根瘤菌はどんな植物にでも着生するのではなく、決まった植物にだけ着生します。
    これを徴生物の宿主特異性といいます。
    ですから、大豆とクローバーでは、共生微生物の種類が異なります。
    根癌菌と植物の共生は絶対的な関係ではなくて、植物は根瘤菌なしでも成長しますし、根瘤菌のほうも植物に依存しないで生育できます。
    共生は微生物どうしのあいだにもあります。
    その例を一つ示してみましょう。
    フラボバクテリウム細菌は、高分子化合物のポリエチレングリコールを栄養分として増殖します。
    増殖がさかんになり、ポリエチレングリコールの分解物が溜まってくると、自身の増殖の邪魔になってきます。
    そこにシュードモナス細菌が登場し、この分解物を摂取して増殖します。
    こうして有害な分解物がとりのぞかれると、フラボバクテリウムはふたたび増殖できるようになるというわけです。
    水のなかにも共生関係をみつけることができます。
    アカウキクサという水生シダは、流れていない停滞した水の水面に生育して、その葉の面にアナベナという藍藻を共生させています。
    太陽の光を受けやすい葉面にすみかを得た藍藻は、窒素を固定し、その産物を宿主のシダに供給します。
    ベトナムやタィでは、この水生シダを水田に栽培して、窒素肥料の補給に役立てています。
    これまでに述べた共生は、双方にとって有益な関係にあるものです。
    これに対して、一方の生物が他方の生物に全面的に依存する関係を寄生といいます。
    病原菌が動植物体に感染するのは、その一例です。
    植物病原菌は宿主特異性がはっきりしており、特定の植物にしか感染しません。
    トウモロコシと稲では、同じ黒穂病でも原因となるカビの種類がちがいます。
    寄生生物は、宿主に対して望ましくない結果をもたらします。
    生物の死体に寄生することを、とくに腐生といいます。
    シイタケはカビの仲間ですが、枯れて死んだ材木に腐生して成長します。
    腐生は生物死体を分解処理する役割を果たしていますから、自然界では重要な現象です。
    微生物は、これに多く関係しています。
    すべての徴生物がほかの生物となんらかの関係をもっているわけではなく、独立して生活しているものもたくさんいます。

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