発酵クリーム,発酵バター,ナチュラルチーズは乳の特定成分を発酵させたものです。
乳を発酵させた製品には、 ヨーグルトのように乳全体を発酵させたものの他に、乳の特定成分だけを分け取って発酵させたものもあります。
そのようなものに、 発酵クリーム、 チーズ、 発酵バターなどがあります。
発酵クリーム
そもそもクリームは、「乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、 乳脂肪分を18.0%以上にしたもの」 と定められている通り、脂肪分が多いものです。
そして脂肪分の濃度によってコーヒーに入れる 18~30%の「ライトクリーム」 と、 ホイップ用に使われる 30~48%の「ヘビークリーム」 に分類されます。
クリームをつくるには、 精製していない乳を加熱殺菌した後、 放置、冷却すると上層にクリームが分離してきますから、それを取り出せば、出来上がりです。 工業的には遠心分離機を用いて製造されます。
このクリームに乳酸菌を混ぜ、 乳酸発酵させたものが発酵クリームです。
生クリームのコクや香りと、 乳酸発酵による酸味をあわせ持っています。
そのままでも食べられる他、 料理やチーズケーキなどに使用されます。
サラダドレッシングなどに使われるサワークリームは発酵が不十分な発酵クリームということができます。
発酵バター
バターはクリームをかき混ぜて作ります。
「発酵バター」はその原料となるクリームを乳酸菌によって半日以上発酵させてつくられます。
製法には、生クリームに乳酸菌を混ぜる方法と、バターに乳酸菌を練り込む方法があります。
日本では甘性バターが一般的に使用される機会が多くなりますが、ヨーロッパでは発酵バターのほうが一般的です。
発酵バターは、殺菌したクリームに乳酸菌を混ぜて発酵させてから作ります。
ヨーロッパではかつての発酵バターの美味しさを求めて、
殺菌されたクリームに乳酸菌を加えて発酵クリームを作ってからバターを作るようになったのです。
その使い方は普通のバターとほぼ同様です。
従来のバターと同様に「有塩」と「無塩」に分けられているため、用途に合わせて使い分けることもおすすめです。
特に発酵バターは、従来のバターと比較してより健康によい影響を与える効果が期待できます。
1.腸内環境を整えてくれる
発酵バターの製造過程では乳酸菌を用いて原料のクリームを発酵させているため、
基本的にはヨーグルトに近い健康効果も期待できるといわれています。
つまり腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えるはたらきがあるとされているのです。
2.ビタミンが豊富
バターにはビタミンA・ビタミンBなどの体調を整える栄養素が豊富に含まれています。
また、抗酸化作用の強いビタミンEや、免疫力の向上に効果的なビタミンDなども、バターには含まれています。
特にビタミンAやビタミンDのような脂溶性ビタミンは、
バターの脂肪分とともに摂取することで体内に吸収されやすくなります。
発酵バターは一般的なバターと比較して鮮度が落ちるのが早いため、
いったん開封したら早く使い切るようにしましょう。
使用しないときは必ず冷蔵庫で保管するよう注意してください。
クリームを激しく振盪する、あるいは練ると、 乳脂肪分が固体として遊離します。これを集めたものがバターです。
バターの成分は80%ほどが脂肪分であり、 他の大部分は水分です。
100gのバターをつくるには約5Lの牛乳が必要といわれます。
このバターを乳酸発酵させたものが発酵バターです。
とはいうものの、近代までのバターには天然の乳酸菌が混入しており、 したがってバターはすべて発酵バターでした。
それが近代になって衛生設備が完備して、初めて天然乳酸菌の混入しない無発酵バターをつくることができるようになった、 というわけです。
ところが日本に本格的なバターが根づいたのは近代以降なので、日本では無発酵バターがふつうで、 発酵バターは特殊という逆転現
象が起きたのです。
発酵 バター 作り方
発酵バターのつくり方には、
発酵バターは、 バター本来の風味に加えて、乳酸発酵によるヨーグルトのような酸味と特有の芳香があります。
【材料】
生クリーム(※):200ml ヨーグルト:大さじ1 ※ホイップクリームは不可。
【作り方】 |
1./生クリームにヨーグルトを加え、よく混ぜる。 |
パックの口をクリップなどで閉じる |
2./40℃のオーブンなどで6時間発酵させ、冷蔵庫で3日間寝かせる。 |
生クリームが発酵して柔らかい固形になる |
3./2をボウルに入れ、ハンドミキサーなどで撹拌する。 |
5~10分ほどでバターの粒と水分(バターミルク)に分離する。しばらくするとポロポロになってくる |
4./ザルでバターの粒を漉(こ)し取り、キッチンペーパーに包んで余分な水分を除く。 |
バターミルクの中にバターが現れます。残りの水分はバターミルクなので捨てない!塩を加えるならこのときに |
5./バターをまとめて、冷蔵庫で冷やす。 |
チーズには大きく分けてナチュラルチーズ、プロセスチーズがあります。
ナチュラルチーズは、 生乳などを乳酸菌や凝乳酵素で固め、 ホエイ(乳清)の一部を除去したものをいいます。
これに対し、プロセスナーズとは、ナチュラルチーズに乳化剤などを加えて加熱·再成形したもののことです。
ナチュラルチーズの基本的なつくり方は以下のとおりです。
まず、牛乳に酢、レモン果汁などの酸を加えます。
すると牛乳が固化してモヤモヤしたものが分離してきます。
これを布巾で濃して固形分を分け取れば、 それがすなわちカッテージチーズというわけです。
チーズの主な原料は、 乳の中にあるタンパク質の一種である 「カゼイン」です。
カゼインには1つの分子中に、 水に溶ける親水性の部分と水に溶けない疎水性の2つの部分があります。
このような分子が集まって集団(コロイド)となり、液体中に浮遊したのが乳なのです。
この乳に乳酸菌を加えて pH を酸性に変えたり、 あるいはレンネットと呼ばれる凝乳酵素を添加したりすると、 カゼイン分子の親水性の部分が加水分解によって切り離されます。
すると、カゼイン分子の疎水性部分は水溶液中に溶けていることができず、集合して固まることになります。
これが凝乳 (またはカード) と呼ばれるもので、ナチュラルチーズです。
チーズの主成分はタンパク質と思いがちですが、 実はそうではありません。
チーズで一番多いのは、重量の 30%ほどを占める脂肪です。
次が 20%ほどのタンパク質、 次いで 4%ほどの糖分という順になっています。残りは水分です。
このようにしてつくられたフレッシュチーズはそのまま食用になることもありますが、多くは加塩、 熟成、 微生物による発酵過程を
経ることになります。
チーズには 1000種類以上もの種類があるといわれますが、一般には、ナチュラルチーズとして、①フレッシュチーズ、②白カビ
チーズ、③ウォッシュチーズ、④ブルーチーズ(青カビチーズ)、⑤シェーブルチーズ(山羊乳チーズ)、 ⑥半硬質チーズ(セミハー
ドチーズ)、⑦硬質チーズ (ハードチーズ)の7種類があり、 そして、⑧プロセスチーズ(非ナチュラルチーズ)の8種類に分けます。
ナチュラルチーズ
①フレッシュチーズ カッテージチーズ、モッツァレラチーズ、クリームチーズなど。
②白カビチーズ(ホワイトチーズ) カマンベールチーズ、 クロミエなど。
③ウォッシュチーズ エポワス、タレッジオなど。
④ブルーチーズ(青カビチーズ) ゴルゴンゾーラ、 バベリアブルなど。
⑤シェーブルチーズ(山羊乳チーズ) ブリンザチーズ、ヴァランセなど。
⑥半硬質チーズ(セミハードチーズ) ゴーダチーズ、フォンティナなど。
⑦硬質チーズ(ハードチーズ) チェダーチーズ、 エダムなど。
非ナチュラルチーズ
⑧プロセスチースズ 日本でなじみの 6Pチーズなど
フレッシュチーズは熟成させないものであり、白カビチーズは外皮に白カビを植え付けて熟成させたもので、柔らかくクリーミーな味わいが特徴です。
青カビチーズは内部に青力ビを植え付けて熟成させたものです。
ウォッシュチーズは表面に塩水を吹き付けたものです。
半硬質·硬質チーズはいずれもチーズを圧搾してホエイ(乳清)を除いた後、 熟成させます。
そのため大型で保存性もよくなります。
チーズの中には強烈な匂いのする物があります。
匂いの強いチーズとして知られるのはブルーチーズとウォッシュチーズでしょう。
ブルーチーズはチーズに青カビを付けたもので、 独特の大理石模様を持った美しいチーズです。
なかでもフランスのロックフォールは強い匂いを放ち、味わいも塩味が強く刺激的です。
ウォッシュチーズは、塩水やワインなどを定期的に吹き付けながら熟成したものです。
こうすることによってリネンス菌など特定の菌が選択的に繁殖します。
これらの菌がチーズ表面から内部に向けて緊殖する過程でチーズの脂肪分とタンパク質を分解してアミノ酸などの旨味成分に変化させるのです。
匂いは発酵食品独特のものとなり、最後には崩れるまでに柔らかくなります。
菌が付着した外皮は、食べません。
数あるウォッシュチーズの中でも別格なのがフランスの修道院で開発されたというエポワスです。
強い匂いを放っていますが、 味はまろやかでなめらかであり、 濃厚で繊細な味わいは他では味わえません。
同じくフランスでつくられるマンステールは表面はオレンジ色でベタベタしています。
匂いは強烈ですが、食べると凝縮したミルクの風味が美味しいです。
モン·ドールは秋·冬にしかつくれない季節限定のチーズです。
匂いは強めですが、熟成してトロトロに柔らかくなったところをスプーンですくっていただきます。
付録*発酵あんこの作り方
砂糖を一切使わずに、麹の力で小豆を発酵させて作る「発酵あんこ」。
作り方
・小豆……200〜250g
・米麹……200g
・水……適量
・塩(お好みで)……少々
※小豆の量が少ないほど、甘さひかえめになります。まずは200gから、お好みの甘さを調整してくださいね。塩を少し入れることにより、甘さが引き立ちます。
1. 小豆をサッと洗い、たっぷりの水と一緒に鍋に入れて火にかけます |
2. 沸騰したら5分ほどゆで、ザルに上げて水を切ります |
3. 圧力鍋で加圧します |
圧力鍋に2の小豆と水3カップ(600cc)を入れ、圧がかかったら弱火で5分加圧します。 圧が下がったら蓋をあけ自然に冷まして60℃まで下げましょう。 |
4. 米麹とゆでた小豆を炊飯器に入れます |
手で米麹をポロポロとほぐし、3の小豆と塩を一緒に炊飯器に入れます。 お湯(60℃)をひたひたになるくらいまで加えてください。 |
5.濡れたふきんをかぶせて、炊飯器の蓋は開けたまま8時間保温します。2〜3時間ごとにかきまぜ、 水分が足りない場合はお湯(60℃)を加えましょう。ふきんが乾いている場合は、濡らしてください。 |
完成! できあがったら、お好みの具合にかき混ぜてください。つぶあんが好きな人は、 サックリと混ぜるようにしましょう。保存容器に入れて冷まし、冷蔵庫で保存してください。 保存期間は1週間が目安です。 |
消毒した清潔な保存容器に入れて、塩分を少し加え、冷蔵庫で2~3日で使い切るようにしましよう。
いいこといろいろ
1:小豆には外皮に小豆サポニンと呼ばれる成分があり、利尿効果があります。
2:食物繊維も豊富で乾燥の状態で100gあたり17.8g含まれています。
3:米麹は発酵食品なので、善玉菌が含まれています。
4:小豆にはビタミンB1が豊富で糖質の代謝を促進し、疲労回復効果も期待できます。
5:さらに小豆には冷え性や貧血を改善する鉄分も豊富で、ほうれん草の2.7倍の量が含まれています。
6:抗酸化作用が高いポリフェノールが豊富なので、しわやしみを防いでくれる効果も期待できます。
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