ビールとは
日本人のビール観は黄金色、透明感白い泡、苦みがある炭酸がきつく、キンキンに冷たく冷やしてのど越しを楽しむ飲み物で、間違ってないでしょう。
しかし、それが日本のビールであって全てではありません。
このビール観はピルスナーというビールがもととなってると思います。
まずこの、黄金色のピルスナーだけしか知らないビールの世界を広げましょう。
ビールには麦わら色から 茶色 琥珀 真っ黒なものまで、さらに苦い、甘い、レモン味、酸っぱいまであります。
炭酸を感じないもの 常温で飲むもの それらすべてがビールなのです。
世界観での ビールとは
麦を主な原料とした醸造酒であります。
注意:麦酒=『むぎ100%のお酒』ではありません
現在は発泡酒や第3のビールなどのカテゴリーが生まれて、一般消費者を戸惑はせています。
フルーツやスパイスを、日本では副原料と呼んでいますが歴史的に見ても決して副ではくくれないものであることは現実です。
中世期以降のビール造り全ての色々なフルーツや野菜ハーブが使われていて、ホップがその中の一つである事実があり、それが、防腐や苦みの魅力から今日のビールには、ホップが必ず入れられるようになりました。
日本ではこういった背景を無視した酒税法の影響のためにベルギーのフルーツランビックやホワイトエール、またそれを踏襲したクラフトビールが発泡酒として扱われています。これらのビールは麦芽比率が高いので税金はビールと同じ額を払っているにもかかわらず
節税型発泡酒とならべて消費者に誤解を植え付けました。
米やとうもろこしを入れたビールもコスト削減ではなくて味を調えるためにあえて好んで使用する原料での銘柄が多数あるのです。
ビールの種類
種類は発酵の仕方から分類されます。
下面発酵 上面発酵 自然発酵
下面発酵ビール
ラガービールと呼ばれています。
4~10℃活躍する下面発酵酵母(ラガー酵母)をつかって発酵後には低温で長期熟成させます。
酵母が活躍後に凝縮して底の方に沈んでいく性質を持つために下面と呼ばれています。
歴史の中では新人です、冷蔵庫のなかったころは寒冷地方でのみ作られる特別なビールです。
日本市場の大勢を占めるビールです。
上面発酵ビール
エールビールと呼ばれています。
16℃~24℃あたりで活躍する上面発酵酵母(エール酵母)が作るビールです。
酵母がブクブクと泡のように麦汁の表面に浮いてくるためにこう呼ばれています。
フルーツやスパイスに例えられる複雑な香りが漂います。
イギリス、ベルギー、ドイツの古典的ビールですが、現在、日本の地ビール醸造所でも、銘柄を醸造しています。
自然発酵ビール
空気中を浮遊する野生酵母を取り込み発酵させるビールのことです。
最も古典的ビールです。
現在発売されているのは、ベルギー産の『ランビック』『岐阜の博石館ビール自然麦酒』だけのようです。
ビールの作り方
ビールの主な原料は、麦芽 (モルト)、ホップ、水、酵母(イースト)。
ほかにフルーツ、スパイス、ハーブ、米やトウモロコシなどの穀物、さつまいもやかぼちゃなどの野菜、砂糖などの糖類が加えられることもあります。
麦芽は主に大麦の麦芽です。
小麦やオート麦が使われることもあり、またべルギーの小麦ビールのように麦芽化していない小麦、アイルランドの「スタウト」のように麦芽化されていない大麦を使う場合もあります。
ビールの造り方
ビールは麦芽作りから始まります。
麦芽とは「麦を水に浸して発芽をうながしたあと、乾燥させたもの」のことです。
ではなぜ、そのように面倒な作業をするのでしょうか、 麦のままではビールを造れないのかといえば、たしかにその通り、生の麦ではビールができません、収穫した麦の粒の主成分はデンプンなので、そのままでは酵母がエサとすることができず、アルコールが生まれないのです。
デンプンを糖に変えてやらないと酵母が消化できないのです。
そのためにはまず、デンプンを糖に分解する糖化酵素が必要です。
麦は水を吸って発芽をはじめる際に自らの中に糖化酵素を生み、デンプンを糖にしようとします。
しかし、そのまま放っておくとどんどん成長して糖を使い果たし、立派な麦になってしまいます。
そこで、乾燥させて発芽を止めます。
この状態が麦芽です。
「精麦」というのはこの工程のことです。
ちなみに、麦芽を乾燥させる温度によって焦げ具合が変わり、最終的にビールの色やこうばしさ、味わいなどに変化が出ます。
そして、麦芽を砕く「破砕」の工程に進みます。
ここで粉のように挽いてしまってはだめなのです。
麦汁を濾すときに麦芽の殻が自然のフイルターとして利用できる程度に砕きます。
さらに、砕いた麦芽に糖化酵素が働きやすい温度の湯を加えると、酵素が働いてデンプンが糖に変わります。
これが「糖化」でその後「濾過」を行い、麦汁が出来上がります。
その麦汁にホップを加えて煮沸すると苦味や香りがつきます。
ここで、麦汁を冷却して、酵母 を加えると「発酵」が始まり、 主発酵が終わったあと、「熟成」して味わいを調えると、 美味しいビールが出来上がります。
ビールの保管方法
ビールを購入する際、 まず注意したいことは、その店が「ビールを陽の当たる場所」や高温になる場所に放置していないか?」
という点です。
ビールは日光に弱いため、ホップの成分が日光にあたると独特の異臭を放つ成分に変化します。
ビールの専門用語では「スカンキー」と表現する動物臭です。
この臭いを体験したければ、透明のグラスにビールを注ぎ、太陽の光に20分ほどさらしてみるだけでよいです。
ビールは光を通しにくい茶色い瓶に入っていますが、これとて完全に遮断できるわけではありません。
また、ビールは高温にも弱く、30℃を過ぎると極端に変質してしまいます。
太陽がサンサンとあたる場所にビールケースを積んでいる店で買うことは避けたほうがいいというのは、こうした理由なのです。
置き場所がないからといって、ビールケースを陽の当たるベランダに出したり、高温になる車のトランクに入れっぱなしにはしていないでしょうか?
ご察しの通り、ビールは冷暗所に保管することが望ましいです。
一般的なビールなら冷蔵庫が良いでしょう。 ただし、瓶内に生きた酵母がいて熟成できるビールの場合は、冷やしすぎると酵母が冬眠状態になってしまうことがあります。
理想は12~15℃のセラーでの保管だが、家庭の場合は新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に入れておくといいです。
瓶を横にしなければならないので、王冠が腐食したり漏れていないかを定期的にチェックしたいところです。
また、飲む際は酵母の澱を底に沈めるため、しばらく立ててから開栓するように心がけたいところです。
グラスについて
ビールは必ずグラスに注いで飲むという習慣を身に付けたいものです。
ビールを缶や瓶から直接飲むとよくない理由が3つもあるからです。
一つ目は、缶や瓶の中には泡が立っていないこと。
泡はビールが空気と触れて酸化するのを防いだり、飲んだ際に唇にクリーミーな心地よい感触を与えてくれる重要な要素です。
グラスから美しく盛り上がったビジュアルもビールの魅力のひとつなのだから、ぜひ泡を楽しみたいものです。
2つ目は、ビールの炭酸はグラスに注がれるときに適度に発散されるように考えられているため、直接飲むと必要以上の炭酸
を飲み込んでしまうことです。
ビールでお腹が張ったり飲み疲れると感じる人は、缶や瓶から直接飲んではいないでしょうか。
3つ目は、缶から直接飲むと金属臭を感じることです。
よく「缶ビールは金属臭い」と敬遠する人もいるが、グラスに注げばまったく問題ありません。
もし、本当に金属がビールをだめにするのなら、樽も熟成タンクはもちろん、すべてのパイプをガラスか木製にし
なければならないでしょう。
ビールの香りや味わいを楽しむためにはグラスを冷やしたり、凍らせたりする必要はまったくありません。
グラスは脂っこい食器とは別に洗い、自然乾燥に任せるとよいです。
ペールエールを注ぐパイントグラス、
ヴァイツェン用のグラス、
トラピストビールにちょうどいい脚付きの聖杯型グラス
の3種類を揃えておくのがお勧めです。
これだけあれば、ほとんどのビールは大丈夫です。
タンブラーとワイングラスでも十分楽しめます。
ビールの温度
日本ではビールを冷やしすぎる傾向にあります。
高温多湿の日本の夏にはキンキンに冷えたビールが望まれてきたのでしょうが温度が下がりすぎると味や香りを感じにくくなることを理解しておきましょう。
特にエール系のビールは香りが大きな楽しみのひとつです。
冷やしすぎては、ビールの魅力を半減させてしまいます。
もし、ビールが冷えすぎているようなら、ここは前向きに、ゆっくり飲んで温度の変化による香りの違いを楽しむのも一興です。
最後に、ビールは五感で楽しむ酒だということを伝えておきたいのです。
最初は聴覚。王冠を抜いたり缶を開ける時の音や泡の弾ける音を聞く。
色や泡立ちを視覚でめでる。
鼻で感じる「アロマ」、口に含んだときに感じる香りと味わいの「フレーバー」は、臭覚と味覚で感じるものです。
また、泡のやさしい口当たりや炭酸がのどを通る刺激は触覚です。
ビールは体全体で楽しむ酒です。
知識ばかりが先行しても仕方がないですが、とにかく飲んで、感じてみようではありませんか。

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